第101回選手権大会決勝戦履正社ー星稜の雑感
履正社、初優勝おめでとうございます。
大きな追風に乗る星稜の勢いを止めるのは難しいとにらんでいましたが、それを上回る履正社の破壊力たるや恐るべしでした。
失投を見逃さずピンポン玉のようにスタンドインさせた四番井上の3ランは圧巻でしたが、どんな球種も初球打ちでとらえてみせた桃谷、バッテリーに投げる球を無くさせて仕留めた内倉など・・・、上位から下位まで気の休まるところのない見事な打線でした。
何でも、大会を通じて盗塁ゼロでの優勝校は史上初だったのだそう。関東第一や明石商といったスモールベースボールを得意とする難敵を、力でねじ伏せてきたところからもその一端が伺えた気がします。
こちらは直近10年の決勝戦のスコアです。
- 2019年 履正社 5-3 星稜
- 2018年 大阪桐蔭 13-2 金足農
- 2017年 花咲徳栄 14-4 広陵
- 2016年 作新学院 7-1 北海
- 2015年 東海大相模 10-6 仙台育英
- 2014年 大阪桐蔭 4-3 三重
- 2013年 前橋育英 4-3 延岡学園
- 2012年 大阪桐蔭 3-0 光星学院
- 2011年 日大三 11-0 光星学院
- 2010年 興南 13-1 東海大相模
あと一歩のところまでは勝ち上がれても、最後頂点を獲るには突出した攻撃力が備わっていないと難しい。そんな傾向が年々強まっている気がします。
今後もそういった流れは続いていくのか、それを覆すようなカラーのチームが優勝することはあるのでしょうか。
さて、今大会最も注目を浴びたチームとも言える星稜。
いい状態で決勝マウンドに登ると思われた奥川投手も、いざ投げてみたら制球も球威も万全とは言えないできでした。激戦と猛暑で蓄積された疲労は予想以上だったのでしょう。
奥川の調子は上がらず、また試合を通じて走塁ミス、送球ミス、判断ミス・・・と度々の失策を重ね、ともすればワンサイドゲームになってもおかしくない流れでしたが、履正社を上回る13安打を放ち、球場を支配する大応援の後押しも受けて、7回には3-3の同点に追いつく展開に。
しかし追いついた矢先の8回、履正社に2点挙げて突き放されたのはとても痛かった。(さらに言うと、この回先頭打者の内倉が粘りに粘って放った二塁打のダメージが大きかった。)
結果論にはなりますが、この回奥川を思い切って継投させていたら、また違う試合になっていたようにも思います。履正社がエース清水から岩崎にスパッと継投したのとは対照的でした。
24年前に続き決勝で惜しくも敗れてしまった星稜。大先輩である松井秀喜の「でも、ここで優勝できないのが、星稜。母校のそういうところも大好きです」という言葉には、愛情とともに大事な課題が隠されているように思えます。
それにしても見どころが多く、応援の盛り上がりも素晴らしく、とても見応えのある決勝戦でした。
履正社、星稜のみなさんお疲れさまでした。