高校野球ブログ~KNOCKOUTMARCH!~

高校野球に関する戯言を綴ります。

高校野球「裏」ビジネス

高校野球「裏」ビジネス (ちくま新書 711)
軍司 貞則
4480064079

面白かった。あっという間に完読でした。

いろいろややこしい話は置いておいても、ダルビッシュの話とか馬淵監督の話とか現場レベルまで入り込まないと聞けないようなエピソード満載で、高校野球好きなら引き込まれるでしょう。

特待生問題もだいぶ下火になりましたが、私見としては、

  • 特待生制度

学校の経営努力による戦力補強策であって何も問題は無い。勉強ができる学校、自由な校風の学校、野球が強い学校、各校に個性が出るから面白いんじゃないか。この本に出てくる私学もそうだが野球を強くしようとする目的のために、ただならぬ情熱を注いでいる経営者の努力がある。世論に擁護される公立校とは立場が違う。

中学を出て単身で遠方に渡る行動に敬意こそ表すれ非難する気持ちなんて全く沸かない。自分が同じ年の頃はそれだけの覚悟を持って生きたことなんてこれっぽっちも無かったのに。

  • ブローカー

結局一連の問題の根っこはここ。人買いみたいなことが普通に行われている状況が正常であるわけはない。ただ中学から高校への進路が自由である以上はどうやったって素材の取り合いが無くなる事はないだろうから、こういう人間が消えることも無いような気はする。少なくとも、特待生登録は5人までという指針がこの足止めになるとは思えないのですが。

いろいろと悪い面ばかり取りざたされているこれらの問題ですが、一点私が気になるのは、こういった偏りを無くしていくことを皆は望んでるの?ということ。

つまり、横浜やら智弁和歌山やら明徳が鎬を削る甲子園と、そこそこのレベルの公立校が顔を並べる甲子園とどっちが見たい、ということ。私なら圧倒的に前者です。甲子園にはその年各地区で一番鍛え抜かれたチームばかりが出揃って欲しいし(もちろんその結果として名乗りを上げた公立校は大歓迎)、甲子園はそれだけの価値がある場所であって欲しい。

そうあるためにも野球に注力する学校はそうあり続けて欲しいし、また穿った見方をすればそういう強くて憎い存在があるからこそ私学対公立で盛り上がる構図もできるわけで、高校野球を面白くするためには大事な要素なのだと思っています。