高校野球ブログ~KNOCKOUTMARCH!~

高校野球に関する戯言を綴ります。

第84回センバツ高校野球大会優勝予想

何とか開幕前に書けました・・・。

東北勢の優勝について

優勝予想に入る前に最近話題に挙がることが増えてきた東北勢の優勝について、自分が思う所を記します。

私も東北出身の人間なので、どうしても甲子園を震災復興に紐付ける色眼鏡で見てしまう所はありますが、それを差し引いてもいよいよ東北に優勝旗を持ち帰ってくれるチームが出てきたと感じています。正確に言えば「持ち帰るに相応しい」チームです。

私は東北出身でありながら、良く悲願と形容される東北勢の優勝についてあまり積極的には望んできませんでした。それは次の二つの理由からです。

1.「悲願」としてあった甲子園の不文律が破られることの寂しさ。

きっと高校野球好きな方は誰しもそうかと思いますが、子どもの頃からずっと甲子園を見続けてきて自分の中での「甲子園」というものを持っています。それは例えば、選手は坊主であるべき、プレーはいつも全力疾走といったステレオタイプな事から、優勝投手が持つべき品格、といった主観的な見方まで全てに渡ります。

その一つに東北勢の優勝はあくまで「悲願」だという自分の中での不文律があって、それが破られることへの寂しさというか怖さみたいなものを持っていました。

しかしこの10年、自分が持っていた甲子園の「優勝」に関する常識がことごとく覆される出来事が高校野球界に起きました。

  • 2004年春 済美:創部3年目にしての優勝
    • 実績を積み上げてきた結果に優勝があるという考えを覆された。
  • 2005年夏 駒大苫小牧:北海道勢の初優勝
  • 2006年夏 駒大苫小牧:2年連続優勝(しかも翌年の準優勝)
    • 常識が通用しない、説明が付けられないあの強さ。
  • 2010年春夏 興南:史上6校目の春夏連覇
    • 歴史的な強さを誇るチームでないと春夏連覇なんてあり得ないと思っていた。

これらを目にしてきて、今や甲子園では何が起きてもおかしくないというか、自分がこうあるべきと思っている甲子園と実際の結果は違うんだ、という当たり前のようなことが分かりました。

2. 優勝するんであれば本当に納得できるチームであって欲しい。

決勝まで進出し優勝に限りなく近付いた東北勢はこれまでも何校かあります。しかし過去に自分が見てきた中で、このまま優勝しても仕方がないという感情を抱いたのは1989年夏・仙台育英だけでした。優勝するのであれば、少なくともその大会で自分が優勝に相応しいと納得したチームであって欲しかったからです。

2001年春・仙台育英、2003年夏・東北、2009年春・花巻東の時などは正直相手校を応援していました。それぞれ優勝にはまだ足りないと納得していなかったからです。

そんな自分にとって、2009年夏の花巻東は衝撃的でした。菊池雄星の存在感や個性が立った野手陣はさることながら、優勢劣勢にかかわらず常に声を出す笑顔のメンバーとその空気で試合を包み込んでいくあの何とも説明し難い威圧感・・・甲子園でこれまで見たことが無い強さを持ったチームでした(駒大苫小牧も異質な強さを持っていたけどそれとも違っていた)。
東北勢のチームに対して自分からは初めてこのチームは優勝に相応しい、優勝しても納得だと思いながら試合を見ていたものです。この時以来、自分の中で東北勢から優勝校が出るなら2009年夏のチームカラーを継承したままの花巻東、が一番の候補という思いがあります。

昨夏、2009年以来出場した花巻東はそのカラーを確かに継承したチームとして登場し、初戦で帝京に敗れはしたものの強い印象を残していきました。そして今年、エースの傷も改善しさらに戦力を増したチームとしてまた甲子園に戻ってくるとのこと。今年の花巻東を非常に楽しみにしています。


さて前置きが長くなってしまいましたが、本題の優勝予想に話を移りたいと思います。

今大会出場校について

今年の出場校を見渡すと、昨春夏に実績を土台に着実にステップアップして帰ってきたチームが目に付きます。

いずれも昨春夏から秋にかけて継続して力を発揮している、また経験を積んだメンバーが今年の主力にも残っているといった充実具合が感じられるチームが多いです。

戦力面、昨年からの雪辱度の強さ、優勝へのモチベーションの高さといった重要な要素を考慮すると、ここに挙げられたチームを凌駕する対抗馬は見当たらず、この中から優勝校が出るものと考えます。

それでは、以下ブロック毎の勝ち抜け予想です。

Aブロック 敦賀気比

敦賀気比か三重か非常に迷いますが、2年前のベスト8を見て育っている分だけ敦賀気比を買いたいと思います。
しかし浦和学院のここ数年の目立たなさといったら無いですが、どうしてしまったんでしょうか。

Bブロック 九州学院

散々褒めた花巻東ですがここでは押しません。ここでもう一つ悔しい思いをして、夏に最高の形で優勝してもらいたいからです。
大阪桐蔭もさすがにかなりレベルが高そうなのですが、写真だけ見る限り藤浪の線の細さがちょっと不安を感じさせます。高校時代のダルビッシュとかダースとかと重なるような感じで、評判ほど甲子園で活躍するイメージが湧かないのです。
ここでは投打とも全体的に昨年より底上げされ、またこの春に狙ってきている雰囲気のある九州学院の不気味さを取ります。

Cブロック 健大高崎

健大高崎は昨夏の戦いぶりが非常に内容があって、ありきたりな新興私学には無い正のオーラを感じます。小柄な選手で機動力を売りにしたチームカラーも個性があり甲子園に良く映えるでしょう。2005年夏に天理を破った国士舘と何だか重なるものがあり、トントンとベスト8まで勝ち上がっていける絵が浮かびます。

Dブロック 作新学院

これはさすがにベスト8まで実力で押し切ってしまいそうな組み合わせ。
作新学院は後述する智弁学園と同様に非常に上昇気配を感じるチームですが、エースの雰囲気が優勝すべきチームの持つそれと違っているのが惜しいところ。

Eブロック 高崎

光星学院がこの春勝てない理由は昨夏の不祥事があるから。野球に直接関係無いことであっても甲子園が好まざるストーリーが実現することはありません。初戦で足元をすくわれるパターンが起きるのでは。

一方その反する流れに乗じる進学校・高崎の活躍で大どんでん返し枠となることを予想。昨秋に見せた私学喰いの実績は何気に侮れません。

Fブロック 愛工大名電

ちょっと甲子園出場の間が開いて読みにくいのですが、一時期の“迷電”に戻っていなければ投手力の差で名電が押し切るのではないでしょうか。

Gブロック 横浜

ここ数年のブランド力の落ち込みは著しいものがあり、昨春の初戦完敗(横浜1-5波佐見)、昨夏の大逆転負け(横浜4-9智弁学園)等の負け方を見ていると、松坂以前の勝負弱かった時代に戻ってしまったかのように感じます。
しかし今年は横浜らしい美しい球筋を持つエースを看板に背負い、スケールが無くともさすが横浜という戦いぶりで最低限ベスト8までは存在感を示してもらいたいところ。

聖光学院は好きで頑張って欲しいチームですが、あまりに真剣に取り組んでいる学校が陥る「運の無さ」に取り憑かれている感があります(一頃の明徳義塾に似た空気を感じています)。かといって今のひたむきなチームカラーは変えて欲しくない。そのうちドラマチックな試合の一つでも巡ってくればきっと流れがやってくる、そんな我慢の時期なのかもしれません。

Hブロック 智弁学園

初めに挙げた昨年実績校のうち一番の気配を感じるのが智弁学園です。戦力的にも投打に力・意識レベルの高い中心メンバーが残っており、監督も今年のチームに対して相当な手応えを感じているようです。
奈良の智弁が全国制覇するイメージが今一つ浮かびにくいのはありますが、昨夏からの強い流れ(横浜戦の大逆転が勝ち→作新学院に逆転負け)を受けての優勝というストーリーは、とても現実味があります。
そういった戦力+流れの強さでは作新学院と評価が拮抗しますが、その相手に昨夏直接負けている分だけ逆に溜め込んだ力が発揮されることが期待できます。

優勝予想

智弁学園
納得の展開になればここがいくのではと。
怖いのは目覚めた横浜にリベンジされるようなケース(ただし、それは本来正しい姿に戻ることでもあります)。

健大高崎
センバツに吹く春風は往々にして気まぐれで、例えばここ10年で言う鳴門工神村学園聖望学園みたいな伏兵に追い風となります。そんな風に一番吹かれそうなチームな気がします。